2010年03月18日
一関市大東町政務調査報告
平成21年度政務調査事業実施報告書
上ノ国町議会議員 尾 田 孝 人
実 施 期 間 平成22年2月23日から26日
政務調査市町村 岩手県葛巻町、紫波町、一ノ関市大東町、雫石町
調 査 地 岩手県一ノ関市大東町 2月25日
わが町の課題
上ノ国町情報交流館「文珠」(道の駅)は、町の第3セクタ-である上ノ国観光振興公社に「海の図書館」「研修室」等を指定管理者に指定し管理運営させている。同公社は「レストラン・もんじゅ」を経営しているが、春夏季を終えると来客が激減し、厳しい経営が開設以来続いている状況にあります。
わが町では、一部の農業者グル-プや漁業者が自分たちの生産物を加工し、確たる販売ル-トも持たず細々と商品加工して販売している状況に鑑み、町行政は、これら農漁業者が生産する産物の販売促進のため、「海の図書館」を閉鎖し直売所を設置し、地元農産品や水産加工品など販売促進を図り、生産活動に意欲を醸成する施策を講じています。
合わせて直売所への来客者が増えることで、セクタ-が経営するレストラン-の利用者を増えることを期待しています。
わが町の農漁業者においては、わが町の豊かな農漁村景観と豊かな食生活を守り、地域内資源を有効に活用した、「循環型農漁業等の振興」を促進していくとの位置付けが弱い状況にあり、これら諸課題を町行政・生産者が連携し取り組む中で、生産者の物づくり意識の自覚と経営の自立が求められています。
調査事項
大東町地区の女性グル-プ「ふるさとの味研究会」等の会員が中心となり、豊かな農村景観と豊かな食生活を守るため、地域内資源循環型農業に取り組み、新たな農産商品の開発と販売、大東町の支援施策等についてを政務調査する。

一関市大東農業技術センタ-
一関市大東農業技術-ンタ-にて、農業技術員の勝部忠志氏より、大東町の取り組みについて報告を受け意見交換を行う。
菜の花プロジェクトin大東の取り組み
農業の多面的機能を活かした産業の創生と地域共生の創生、地域共生の経済を創生させることを目標とし、大東町は棚田が多く高齢農業者の遊休農地化が進んでいるために、「菜の花プロジェクト」事業に取り組む。
地域内の堆肥や発酵豚糞などを活用し、遊休農地に「菜の花」を播種し、農村景観を整備し、収穫したナタネからナタネ油をとり油かすや堆肥、または家畜の飼料しとて利用。
さらに廃食油から代替燃料(BDF、バイオデ-ゼルフュエル)としてトラクタ-や町民バスの燃料や石けんの材料として活用することを目指して、高齢農業者が小面積の「菜の花栽培」をとおして、地域内資源循環システムを作り上げていくことで取り組み、栽培から搾油、ナタネ油・エゴマ油販売、搾りかす利用まで、一貫した取り組みをしています。また、菜種栽培に10a当たり2万円の支援を行っています。
「花菜油の会」(ナタネ生産組織)

このような思いの高齢者が中心になって、「花菜油の会」(大東町)が平成15年8月に設立され、85名の会員で12haを栽培。さらに一関市と町村合併で、菜の花ネットワ-ク一関が会員25人栽培面積8ha、合計会員数170人(団体含み)栽培面積20haとなっています。さらに、エゴマ栽培も行っています。

棚田に転作作物としてナタネを栽培(2/25)
「花菜油の会」の設立意義は、何か後世に残る特産品をつくりたい、昔食べたナタネ油が懐かしい、花を見たいの思いからだったとのことです。また、主な活動として、菜の花の環境学習会や、菜の花写真コンテスト、料理教室、栽培指導会、食育講演会、菜の花めぐりツア-などを行い、栽培面積の拡大と岩手県産としてブランドの確立を目指しています。
栽培に当たっては、化学肥料や農薬使用の禁止、栽培管理記録(トレサビ)の提出などを進めています。
工房「地あぶら」

「花菜油の会」会員が生産するナタネを製油するために、工房「地あぶら」を設立。
大東町が一関市と合併する以前の17年に町単独事業として、製油プラントの補助事業1300万円(ナタネ・エゴマ搾油機器施設事業)導入を図り、(建物・焙煎釜、搾油機、油洗釜、ろ過釜、真空タンク、貯蔵タンク、除菌機、モ-タ-等)施設整備を行っています。同工房では、他府県からの委託搾油なども行っています。町内で栽培から搾油・ナタネ油、エゴマ油販売、搾りかす利用まで、一貫した取り組みをしています。
(株)デクノボンズ代表小野寺伸吾氏(右側)
「花菜油の会」の石川さん
工房「地あぶら」の搾油施設

薪焚き焙煎釜①

搾油機②

沈殿ろ過機③

加熱殺菌釜④

ろ過釜⑤

真空タンク⑥

貯蔵タンク⑦

除菌機⑧

手作り瓶詰め器⑨

シリンク器⑩

瓶詰めされた製品⑪
「みそ・醤油工房」
小野寺氏と石川さんが共同で、みそ・醤油づくりも行っています。
わが町の資源循環型産業振興のあり方について。
旧大東町では、地域資源循環型作物としてナタネやエゴマ栽培を導入し、景観作物及び遊休農地解消のため、栽培農家に支援助成して栽培面積の拡大を図り、高齢女性農業者が中心となって新たな地域特産品づくりまで取り組んでいます。
わが町の農漁業振興策は、確固とした「地域資源循環型産業」として位置づけした政策を持っているとは言い難い現状にあります。そのため「農業・漁業で喰える町づくり」との目標を掲げても、農漁業振興策が一貫性ある展望を示した、施策推進が図られているものとなっていません。
また、農漁業者が今日の厳しい社会経済情勢と国の政策に翻弄され、時世に流されながら生産意欲を失いつつ経営をしている状況にあります。この現状を打開していくためには、農漁業経営者の生産活動の意欲を生み出させる政策として、わが町として「地域資源循環型」産業振興施策を明確にして、施策推進を図っていくことが求められるものと考えます。
今、ようやく農漁業生産者が自分たちの経営の安定を図るために行動に立ち上がり始めています。これら第一次産業に携わる者の意欲を持続的に発展させる施策支援を強化すること。
この第一歩を一つの核として一層発展させていくために、関係者が自ら取り組む姿勢を醸成しつつ、生産者・住民・消費者、行政が一同に会する場をつくり、産業振興・まちづくりへの参画と協働が図られていくことです。
また、そのためには町の第3セクタ-である、「株式会社・上ノ国観光振興公社」が、重要な役割を果たすように組織機構体制を改めて、町づくりと産業振興の一翼を担うことが一層求められています。
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